アリババが改定した≪知的財産権侵害処理規則≫(以下“新規則”)は2015年1月1日に施行された。新規則は知的財産権侵害の規制を強化する姿勢を明確 にしている。本稿は権利者様へのご参考として、今回の改定の要点を以下のとおりまとめ、これらに対する見解を述べる。

1. 侵害行為の区分
アリババはこれまで、侵害行為の内容により減点処罰を行ない、その基準はアリババ側が一方的に判断していた。今回の新規則は侵害行為を一般侵害行為と重大侵害行為に分け、基準を明確にしている。

一般侵害行為:
1) 掲載商品情報または、店舗、ドメイン名などに他人の商標、著作物などを不正に使用;
2) 販売する商品に他人の商標、著作物、特許などの権利を不正に使用;
3) 掲載商品情報またはその他の情報がユーザーの誤認混同を惹起;

重大侵害行為:
1) 著作権利者の許諾を得ずに複製した図書、音像製品およびソフトウェアを掲載・販売;
2) 商標権者または使用権者でない者が生産した商品の掲載・販売;

2.処罰規則を故意に避ける行為の処理

アリババサイトにおける侵害業者は知的財産権の処罰規則適用を回避するため、権利者が申立てをする根拠が見付からないよう、いろいろな回避手段をよく利用してきた。今回の新規則にはそのような行為に対する処理規則が以下のとおり追加された。

その他の一般侵害行為:
その他の一般侵害行為は初回4点を減点、2回目および2回以上の場合は8点を減点、重大侵害行為は1回につき24点を減点。重大侵害行為は以下のよう場合 を含むが、これらに限られない。類目の誤放、変形語の使用、商標の遮断、旺舗の装飾や侵害リンクへの誘導などの手段により処罰を避ける行為などである。

3.重大侵害行為の処理

新規則には重大侵害行為に対する処罰が追加された。これはアリババにおけるこれまでの最も厳しい規則となっている。その中、同一侵害店舗は同一知的財産権 の申立で、処罰を受けた回数は3回になる場合、直接アカウントが閉鎖される。旧規則は減点累積方式のため、再犯の可能性が高く、侵害店舗に致命的なダメー ジを与えることが困難であった。新規則の施行は再犯をある程度抑止することが可能となる。ただし、新規則は旧規則と同様、累積された減点の有効期限が 365日に設定されており、期限後には累積減点は自動的0となる。詳細は以下のとおり。

重大侵害行為への処罰

 

重大

侵害

行為

申立て履歴 处罚
 初回の申立て認容 警告
 二回目の申立て認容 権限制限7日間
 三回目の申立て認容  権限制限15日間  同一侵害店舗は同一知的財産権の申立で、処罰を受けた回数は3回になる場合、直接アカウントを閉鎖。
 四回目の申立て認容  アカウント閉鎖
注:1.侵害店舗が重大侵害行為で処罰を受けている場合、その5日以内にあらたな申立てがあったとしても、処罰は下されない
2.侵害店舗が重大侵害行為により処罰されたのち、申立人が当該申立てを撤回した場合または、侵害店舗の非侵害抗弁が認められた場合は、当該処罰記録は取り消される。ただし、重大侵害行為によりアカウントが閉鎖されている場合はこの限りではない
3.処罰決定の1年後には当該処罰記録は消去される
4.侵害店舗の侵害行為が非常に重大な場合、アリババは直接に侵害店舗のアカウントを閉鎖する権利がある

4.改定前後規則の参照表:
http://rule.1688.com/rule/detail.htm?ruleId=1913

 変更前  変更後
 「知的財産権侵害処理規則」  「知的財産権侵害処理規則」
一.定義 一.知的財産権侵害行為
 知的財産権侵害:ユーザがアリババ中国サイトに掲載した情報が他人の知的財産権などを侵害する行為  一般侵害行為:
1.掲載商品情報または、店舗、ドメイン名などに他人の商標、著作物などの権利を不正使用
2.販売する商品に他人の商標、著作物、専利などを使用
3.掲載商品の情報または、使用したその他の情報がほかのユーザの誤認混同をを惹起
 知的財産権とは権利者が創造した知的活動成果を法により占有、使用、収益および処分の権利を与えたものであり、商標権、特許権および著作権などであり、本規則には肖像権、商号なども含む  

重大侵害行為:
1.著作権者の許諾を得ず複製した図書、音像製品およびソフトを掲載し販売
2.登録商標権者あるいは使用権者ではない者が生産した商品の掲載と販売

 二、処理規則  二、知的財産権侵害行為の処理
 (一)減点および処理  1.一般侵害行為の処理
 1.同一侵害店舗は初回同一知的財産権による申立ては、4点を減点。
2.同一侵害店舗は同一知的財産権による申立ては、前回の申立てによる処罰を受けた後の5日間(5日を含む)以内に減点しない。5日以上であれば、重複申立てに認定し、8点を減点。
3.侵害店舗が処罰されたのち、申立人が当該申立てを撤回した場合または、侵害店舗の非侵害抗弁が認められた場合は、当該知的財産権侵害による減点を回復 する。ただし、減点は合計60点以上(60点を含む)によりアカウントが閉鎖された場合、申立人は当該申立てを撤回しても、減点を回復しない。
 

一般侵害行為:
1.同一侵害店舗は初回同一知的財産権による申立ては4点を減点。
2.同一侵害店舗は再度同一知的財産権による申立の場合、重複侵害に認定され、毎回8点を減点。ただし、前回の申立てによる処罰を受けた後の5日間(5日を含む)以内に減点しない。5日以上であれば、重複申立てに認定し、毎回8点を減点。

 その他の一般侵害行為:
その他の一般侵害行為は初回4点を減点、2回目および2回以上の場合は8点を減点、重大侵害行為は1回につき24点を減点。重大侵害行為は以下を含むが、 これらに限らない。類目の誤放、変形語の使用、商標の遮断、旺舗の装飾や侵害リンクへの誘導などの手段により処罰を避ける行為などである。
 2.重大侵害行為の処理
 初回の申立て認容  警告
 二回目の申立て認容  権限制限7日
 三回目の申立て認容  権限制限15日  同一侵害店舗は同一知的財産権の重大侵害行為にて処罰を受けた回数は3回になる場合、直接アカウントを閉鎖。
 四回目の申立て認容  アカウント閉鎖

5.権利者への対応アドバイス

新規則は主に重大侵害行為への規制を強化している。その処罰は申立ての回数を基準にするものであり、権利者が侵害行為の申立てをする際には、侵害店舗内の 侵害品全体を申立てする必要はなく、代表的な侵害品を1件申立した後、侵害店舗はほかの侵害品を取り下げず、引き続き販売する場合、5日間(5日以内にあ らたな申立てがあったとしても、処罰は下されない)をおいて、再度申立をすることを勧める。行為年(侵害行為の記録期間は365日)に重大侵害行為による 処罰を受けた回数は3回になる場合、アカウントは永久閉鎖されることになるので、分けて申立することで、再犯行為をさらに有効に抑止することは可能であ る。
われわれはこれからもほかのインターネット取引プラットフォーム上の規則改定に引き続き注目し、新しい規制が公布され次第、権利者様と情報の共有を行っていく。

 

上海博邦知識産権服務有限公司
維権事業部 ネットワーキンググループ
2015年02月26日