上海市浦東新区知識産権局(以下「浦東知識産権局」と略称する)は昨年11月16日に設立が発表され、本年1月1日より正式に稼働が始まった。同局はこれ までの上海市工商行政管理局浦東新区分局花木工商所の代わりに、中国華東進出口商品交易会(以下「華交会」と略称する)における知的財産権侵害案件の取締 りを担当することになった。
BOBは権利者様の依頼を受け、今月1日から5日にかけて行われた華交会において、商標権を侵害する製品の取締りを申し立てた。本稿は今回の華交会におけ るBOBの実務経験をもとに、取締機関の交替が華交会知的財産権侵害案件の取締りにどのような影響を与えるのかについて簡単な考察を行うものである。

一 概要
取締担当機関が代わったことにより、華交会知的財産権侵害案件の取締りにどのような変化が生じたかにつき、以下のとおりまとめた。

知的財産権侵害案件担当取締機関職員が華交会会場内に常駐せず
浦東知識産権局が苦情受付窓口に
浦東知識産権局によると、目下人手不足で、対応できない案件もあるとのこと
苦情申立のための資料はこれまでと同じ

二 背景

1. 華交会について
華交会は中華人民共和国商務部の支援により、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省、福建省、江西省、山東省、南京市、寧波市など9省市が合同主催し、1991 年から、毎年3月1日から5日までの期間に上海で行われている。同交易会は華東地域において規模、バイヤー数、影響地域範囲および、契約額が最大の国際経 済貿易展示会である。

第25回の華交会は本年3月1日から5日までの期間、上海新国際博覧センター(上海市浦東新区龍陽路2345号)にて行われた

400

華交会中国語公式サイト:http://www.ecf.gov.cn/index.aspx

2. 上海市浦東新区知識産権局について
上海市浦東新区知識産権局は昨年11月16日に設立が発表され、本年1月1日より正式に稼働が始まった。同局は中国で初めての、特許権、商標権、著作権行政管理と総合法律執行機能を一同に集めた機関である

401

画像出所:http://www.pdipa.gov.cn/Article/201412/201412190014.shtml

上海市浦東新区知識産権局の稼働にともない、上海市工商行政管理局浦東新区分局花木工商所が以前に担当した華交会知的財産権侵害案件の取締りは現在、浦東知識産権局が担当している。

三 取締機関交替前後の状況対比
以下の表は取締機関交替前後の状況を比較したものである。

402

BOBは浦東知識産権局の正式稼働が展示会以外の行政取締案件に影響を及ぼすかどうかを引き続き注視する。新しい動きがあれば、直ちに権利者様と情報を共有するつもりである。

上海博邦知識産権服務有限公司
模倣対策事業部 顧客部
2015-03-25